手術について

抜糸不要の手術法

ご要望によっては、避妊手術や去勢手術、その他手術後の皮膚に大きな力が掛からない部位で
あれば、抜糸がいらない真皮縫合(埋没皮下縫合)で手術を終えることが出来ます。

    長所

  • 皮膚の外に糸が出ないので術後の見た目が綺麗で、痒みや不快感を抑えられます。
  • 通常の方法でよく見られる、抜糸後の『ムカデのような跡』が付きません。

    短所

  • 通常の方法に比べると強度が劣ります。
        ただし少々舐めたり、通常の生活をする程度では問題はないと考えられ、当院でこの
        方法を実施以来、適切な管理下で傷が開いたという例はありません。
縫合創
  • 手術部位によっては傷が開くリスクが高くなるため、実施出来ないことがあります。
        また通常であれば可能な部位でも、皮膚の状態や発症している病気によっては不可能なことも
        ありますので、実施に当たっては個々に獣医師よりご説明致します。
  • 抜糸が必要な方法をとる場合は、ナイロン製の糸により皮膚を縫い合わせ、抜糸後の跡が
        残りにくい様に配慮します。

医療材料について

    当院では、手術時に使用する医療材料は、鋼製器具を除いて再使用や使い回し等は
    せず、単回使用
    としています。具体例は以下の通りです。

手術部位の消毒 個包装の消毒剤を使用。作り置きはしない。
最終段階で使用するものは、綿棒ごと滅菌された製品。
吸入麻酔時の気管チューブ 個包装の滅菌された製品を用い、症例ごとに使い切り。
動物の体や器具を覆う布(ドレープ)
獣医師が着用するガウン・手袋
メスの刃や縫合糸、点滴のセット

手術後の傷の管理

    通常手術後の傷には、絆創膏の様な傷の保護材を貼った状態でご帰宅頂きます。

    これは傷の不快感を和らげ、傷の保護をするために使用するものですが、貼った場所に
    皮膚炎を起こすこともありますので、手術後1〜2日を目安に状態を確認させて頂きます。

    傷にも皮膚にも問題がなければ、以後は傷の直接的な保護はせずに過ごして頂きます。
    ただし、傷を舐めるのを防ぐために『ネッカー(エリザベスカラーなど)』や『防護衣
    (エリザベスウエア等)』は使用して頂いた方が安全といえます。

    なお当院では縫合部の消毒は一切行いません。これは消毒により傷の治りが悪くなることを
    避けるためです。消毒をしなくても手術部位の感染率に変化はありませんので、ご安心
    ください。ご自宅においても消毒はなさらず経過を見て頂き、何か異常があった場合には
    早急にご連絡を頂きます様お願いします。

避妊手術の方法

避妊手術の方法は、卵巣と子宮を一度に取り除く「子宮卵巣摘出術」が一般的ですが、
ご要望に応じて卵巣のみを取り除く「卵巣摘出術」も実施致します。

「卵巣摘出術」の長所

  • 手術時間が短縮されます。
  • より小さな傷で手術を終えられます。
        ただし犬の場合はあまり変わりはなく、また通常の方法にも言えることですが、
        内臓の位置や柔軟性の個体差から予定よりも大きな傷口になることもあります。
  • 子宮の切断面に起こり得る『子宮断端肉腫』のリスクをなくせます。

「卵巣摘出術」の短所

  • 避妊手術後も子宮が残るので、子宮の疾患を起こす可能性が残ります。
        ただし卵巣の切除によりホルモンが出なくなると、通常子宮は細く小さくなり、
        疾患を起こす可能性は非常に低くなることが確認されています。
        将来起こり得る疾患や、治療に特殊な薬を使う場合等も考慮に入れると、決して0%
        ではないとの指摘もありますが、可能性は非常に低いと考えて良いでしょう。
              【薬剤・疾患の例】
                皮膚疾患におけるホルモン剤の使用、長期に及ぶ免疫抑制剤の使用、
                クッシング症候群等の免疫力が低下する疾患の発症 等